ここ2,3年でクラウドSIMの技術を利用した「完全無制限」を謳うWiFiサービスが一気に増えてきました。その数は2020年現在で20社以上と乱立状態です。
しかし、「完全無制限」とは言いつつも、どんなときもWiFiや限界突破WiFiが大規模な通信障害を起こしたことで、クラウドSIMの欠点や、各社の対応の違いが明らかとなってきました。
こちらでは、現在業界内で起きている問題について触れつつ、これからWiFiルーターを契約したい方はどのサービスを選べば良いか、専門的見地から詳細にまとめていますので、参考にしてください!
こちらの記事では以下の流れで解説しています!今選ぶならどれがいい?
(月間100GB)WiMAX2+
(月間制限無し/3日10GB)
月100GBでおすすめはどこよりもWiFi
ほとんどのサービスは月100GBの基準を設定していますが、その中でも最安値のどこよりもWiFiがオススメです。(*名前は似ていますがどんなときもWiFiとは別の会社です)
月額 | 3,180円 | 契約期間 | 2年 |
初期費用 | 3,000円 | 通信量目安 | 100GB/月 |
他にもそれがだいじWiFiもオススメです。内容としてはどこよりもWiFiと変わりありません(月額が70円ほど上がるのみ)ので、在庫状況次第で選択肢に入るかどうかというところです。
月額 | 3,250円 | 契約期間 | 2年 |
初期費用 | 3,000円 | 通信量目安 | 100GB/月 |
その他のクラウドSIM系WiFiサービスの在庫状況一覧などはこちらを参考にしてください。

WiMAXの速度について
無制限WiFiと呼ばれるクラウドSIMを採用した端末は、概ね理論値でも最大150Mbps、実質的に5~10Mbps程度の速度となりますが、WiMAX端末の場合、最大1.2Gbps(1200Mbps)対応、実効速度でも50Mbps~200Mbps程度の速度が安定的に出るのが特徴です。
WiMAXの通信制限について
月間の通信制限は一切ありません。3日間の使用量が10GBを超過した場合のみ、その翌日18時~26時(午前2時)頃まで最大1Mbps程度に制限されます。ただしこの速度はYouTubeの動画程度であれば再生できる程度の速度であり、月間の使用量を超過するとほとんどネットの閲覧も不可なレベルになるクラウドSIM系のWiFi(いわゆる無制限WiFi)と比べても安心して利用が可能です。
おすすめは最安値のGMOとくとくBB
WiMAXには多くのプロバイダー(MVNO)が存在しますが、その中でも最安値であるGMOとくとくBBがオススメです。
月額料金 | 3,609円(2ヶ月目まで) 4,263円(3ヶ月目以降) |
契約期間 | 36ヶ月 |
キャッシュバック | 30,500円 |
初期費用 | 3,000円 |
端末代金 | 0円 |
実質月額 | 3,462円 |
1年契約のBIGLOBE WiMAXも!
WiMAXはサービス開始当初は1年契約が中心でしたが、今では3年契約が当たり前になっています。しかしBIGLOBE WiMAXに関しては今でも1年契約のプランがあり、気軽に申し込みが可能です。
月額料金 | 3,980円 |
契約期間 | 12ヶ月 自動更新無し |
キャッシュバック | 15,000円 |
初期費用 | 3,000円 |
端末代金 | 19,200円 |
契約初月は月額無料、端末代が掛かりますが、キャッシュバックが翌月にあるため、実質4200円になります。契約期間は1年、途中で解除したとして違約金は1000円のみとなっており、短期利用にも向いています。
そもそもクラウドSIMってどんな技術?
大量のSIMを一元管理し、データ量を分配する技術
クラウドSIMのサービスではSIMプール(あるいはモデムプール)と呼ばれる機器に大量のSIMカードを挿し、これを1つの回線として利用する技術が使用されています。
当然ながらSIMのデータ量=ユーザーが使用できるデータ量となるわけで、ユーザー同士でデータ量を分け合ってると言うことになります。
本来は海外ローミングを現地のSIMを使用することで格安で利用できるといったメリットがありましが、日本国内では無制限で使用できるWiFiとして売り出すことが多いのが現状です。
次々と発生してしまった通信障害
2020年2月頃から一部サービスで通信障害
それまでもサービスごとに通信障害自体はありましたが、顕在化したのがこの頃です。「どんなときもWiFi」や「限界突破WiFi」を使用していたユーザーから、極端に速度が低下している、あるいは電波をそもそも掴めないといった報告が上がるようになりました。
以降、3月~4月にかけて、運営側から改善したとの発表がなされるも、多くのユーザーに通信障害が残る結果となり、新規申し込みを停止したり、対象月の月額料金の返金や無償解除等の対応が行われることなります。
また、5月になってからコロナウイルスの影響で在宅ワーク需要が高まったことを起因とし、THE WiFi、めっちゃWiFi(*両サービスとも同じ会社が展開)、GMOのギガゴリWiFiなどでも通信障害や新規申し込みの停止に追い込まれました。
ただ、このような中でも限界突破WiFiに関しては、運営会社の社長自らがYouTube上で経緯を包み隠さず公表し、無償解約、他社乗り換えの場合の費用負担、月額免除などの対応をいち早く発表し、制限内容についてもしっかり明示することでユーザーの信頼を得た例もあります。
原因① 急速なサービス拡大によるトラフィックの急増
20以上のサービスが急速に広まっていきましたが、各社とも大々的にTVCMや広告を打ち、短期間で新規ユーザーを増やしていきました。収益ベースに乗せるためには当然の流れでは有りますが、これが以下の要因により、結果として通信障害を招く形となります。
原因② ソフトバンクによるSIM供給の停止
多くのクラウドSIMのサービスはドコモ、au、ソフトバンクの3社の回線をメインで使用しています。特にソフトバンクのSIMは大容量のデータ量を比較的安価で仕入れが可能であったため、完全無制限を謳う各サービスはソフトバンク回線に依存していた部分が大きかったのが実情です。
しかし、3~4月頃にかけて、コロナの影響により各通信会社のトラフィック(通信量)も全体的に大幅な増加を示し、これまでのような供給が出来なくなってしまいました。
原因③ 一部利用者よる回線の占有
現在、ほとんどのサービスでは明示の有無に限らず、月間あるいは1日あたりの通信量の目安を設定しています。これは一部利用者による回線の占有を防ぐ目的でもありますが、限界突破WiFiの場合は当初、このような設定がなされておらず、公式発表によれば1人で4.4TB(4400GB)を超える通信を行った例もあったとのこと。
クラウドSIMの性質上、サービス会社が確保しているデータ量を契約ユーザー同士で分けて使用している関係で、このように少数のユーザーが大量の通信を行ってしまうと、データ量が枯渇し、結果として全体で制限が掛かってしまうという状況になりました。
原因④ コロナの影響による在宅ワークの需要増
さらに、コロナの影響で在宅ワークによる急速なネット回線の需要増により、トラフィックも上がりました。光回線を申し込んだとしても、最短でも数週間、遅いと2ヶ月ほど開通までに時間が掛かってしまうため、即日開通可能なクラウドSIMやWiMAXのようなモバイルデータ回線は必然と需要が伸び、結果としてどこも在庫が枯渇するような結果となりました。
平時であれば問題の無いユーザー数であっても、全体的にトラフィックが上がったことで、SIMの調達量が不足し、結果として通信障害を起こしてしまいました。
原因⑤ コロナの影響によるネットワーク設備増設の遅延
既述のとおり、クラウドSIMのサービスは、大量のSIMをSIMプールと呼ばれる装置で一元管理しています。しかしコロナの影響でこの機器の製造および輸入が大幅に遅延し、急激に増えたユーザーを賄いきれなくなってしまいました。
クラウドSIMの問題点とは?無制限でない理由
無制限は有りない
確保したSIMカードのデータ量を分け合って使うというシステム上、完全に無制限というサービスはありえません。それも3000円程度の月額料金で実現させるのは不可能です。
自社回線でないため、キャリア側の都合に左右される
自前で回線を用意しているわけではなく、あくまで大手通信キャリアのSIMを提供してもらってサービスを展開している以上、キャリア側が供給量を制限したり、単価を上げるなどした場合はその影響を大きく受けてしまいます。2020年に多くのサービスで障害が起きたのもソフトバンクからの供給が十分になされたかったことに起因します。
物理SIMの優位性
WiMAXやY!mobileなどの従来からあるサービスでは、SIMカードを個々の端末に挿入し、それによってデータ量を管理しています。これであれば、たとえ一部ユーザーが大量のデータをしようしたからといって、ネットワーク全体に影響を及ぼすようなことはありません。
実際、WiMAXも長年サービスを提供していますが、大規模な障害が起きたことは台風により一部地域に障害が発生したくらいで、ここ何年も大きな問題は起きていません。
そのため、現在ではクラウドSIMに乗り換えた人たちが再びWiMAXなどのサービスに戻る動きが多く見受けられます。

景品表示表の有利誤認には当たらないのか
おそらく遠くないうちに規制される見込み
結論から言えば、無制限を謳っておきながら通信量に制限を設ける可能性があれば、それは有利誤認に当たります。
かつてWiMAXやY!mobile(旧イーモバイル)などでもデータ制限が問題となった過去があります。特に契約書の片隅に小さく書かれていたり、ユーザーにしっかりと説明されることが無いまま契約してしまう事例が多発し、現在では制限内容は必要以上に明示されています。
現在無制限を謳うWiFiのサービスは、この2年ほどで急速に増えたため、今のところ無法地帯となってしまっています。良識あるサービスでは1日あたり、あるいは月間の通信量の目安を公表してはいますが、一部のサービスでは問い合わせても明確な基準を答えないようなところも存在しています。
多くのサービスで通信障害などが起こって問題となっている現状があり、WiMAXやY!mobileの時と同様、指導が入るなどし、これらの表現が制限される可能性が高いでしょう。
今後のクラウドSIM対応WiFiサービスの展望
ユーザーの信頼を得た数社のみが生き残り、残りは淘汰される
2019年から2020年にかけて、クラウドSIMのサービスを提供する企業が急速に増えました。
通信障害は仕方のないことでしたが、その後のユーザーへの対応などは各社分かれる形となりました。あまりに増えすぎたサービスですが、今後は体力が無く、ユーザーの信頼を得られてない企業から順に撤退していき、徐々にその数を減らしていくことが容易に予想されます。
現在選ぶ基準は「制限の目安を明示、あるいは月間の通信量を明確に保証するサービス」であることは間違いありません。WiFi選びの参考になれば幸いです。
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